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2006年09月07日
Look at me!(ルック アット ミー)
生まれて日の浅い乳児は自他の区別ができておらず、自分の身体を含めた周囲のものに触れたり、なめたりかじったりして自他の分化を図りながら成長していきます。それは、この世界にある豊かな意味合いを,直截的に身体で味わう行為であり、また、それは、すでに造形性の端緒とも言えます。
子どもは世界とそのようなかかわりをつみ重ね進化させ、自分をとりまく人々との関係性の中で「自分」を形成していきますが、けれども、その形成された「自分」が、必ずしも喜ばしいものであるとは限りません。
学校という教育装置に取り込まれ、やがて硬直化した制度に同化するように表情を失くしたり、そこに馴染めない身体や心が悲鳴を上げたりする子どもたちをこのところ私たちは、目にすることが多くなってきています。ともすれば、子どもにとって「自分」があることは苦痛であるかも知れないのです。
さらに、最近の教育の傾向として、大人は追い討ちをかけるように教育装置の一層の拡充を図ったり、それへの早期の適応を図ったりしています。少子化は、その流れを加速度的に進めそうです。
そのような中で小学校における「図工の時間」は、子どもたちを本来の柔軟な状態に戻し、子どもたちに“やわらかく・ゆったりとした・しなやかな”リズムを取り戻させることができる稀少な場となりつつあります。
今、私たちは、子どもが本来の「自分」に立ち返り、そこから生まれてくる色や形を通じて示すメッセージをありのままに受けとめ、そこに何かを感じることができるでしょうか?私たちは、子どもの「自分」以上に、たとえば、教育効果や効率などといった目先の価値観に目を曇らされた指導者(あるいは大人)としての「自分」を強く投影し過ぎていないでしょうか?
確かに、今ほど社会的に子どもがとり上げられ語られる時代もないかも知れません。けれども、そこには何か子どもを語る大切な視点が抜け落ちているように感じられてならないのです。
10回目を迎える今回、私たちは、この「図工だいすきこども美術展」がこの世に生れ落ちた瞬間に立ち返り、再度、触れたりなめたりかじったりして自他の分化を確かめながら本展の目指すところ、すなわち、造形を通じて子どもという希望の存在に気づくことができる大人を一人でも増やしていきたいと考えています。

投稿者 zukodaisuki : 2006年09月07日 00:16